十二国記・赤子鳳声
The Twelve Kingdoms
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「風の万里 黎明の空」三十九話

  蜂起の起きた拓峰の街へ王直属の軍隊である禁軍が陽子達の敵として現れる。だがそれによって陽子は、王である陽子の了解を得ず勝手に禁軍を動かした人物がいる事を知り、呀峰と昇紘の後ろ盾として裏で取りまとめていた元冢宰・靖共の存在に気付く。これ以上勝手はさせないと決意する陽子のもとに、金色の鬣を持つ一頭の獣が舞い降りてきた。その光景を呆然と見つめる誰しもが、それがこの慶国に唯一無二の存在である「麒麟」だと分かる。同時にその麒麟に騎乗する陽子を慶国の王以外に疑う余地も無かった。そして街の閑地で待機していた禁軍と州師達の前に降りてきた陽子は靖共と呀峰を捕える事、明郭に囚われの身である遠甫を救出する事を禁軍三将軍に勅命をもって命じるのだった。


 陽子が王であると分かった一同が叩頭の礼を取る中、虎嘯一人がいまだに理解できずに困惑顔で立ち尽くしていた。陽子は皆に礼を言い自分にできる事があれば言って欲しいと告げる。すると桓たいは元麦州侯であった浩瀚への疑いを晴らして欲しいと申し出る。桓たいは麦州出身で麦州師の将軍を勤める人物で、浩瀚の命により和州に集まり、景王への呼びかけに身を呈して行ってくれていたことに陽子は心から感謝する。


 拓峰の乱の後、祥瓊と鈴と共に明郭にある桓たいの屋敷へと訪れていた陽子は、そこに息を引取った浅野の身体を見る。だが、浅野の顔には自分のやるべき事をやり遂げた証ともいえる笑顔があった。浅野を見取った陽子はようやく玉座へと戻る意志が固まる。一方、祥瓊は約束を果たしに雁にいる楽俊の所へ行く事を告げる。鈴もまた、采王にお礼を言いに一度才国へ戻るのだと言う。陽子はもし二人さえ良ければ王宮へきてくれないかと勧める。今の陽子には一人でも多くの信頼できる人達が側にいて欲しいと考えていたのだ。


 金波宮へと帰還した陽子は朝堂に諸官を収集し、新たな顔ぶれである遠甫、浩瀚、桓たいの三人を招きいれた。一同がざわつく中、陽子はまず官吏の移動を告げ、さらに平伏する一同に立つようにと命じる。そして陽子が次に口にするのは「初勅」。王が初めて発布する勅令で、その内容は今まで誰一人として考えもしなかったものだった。陽子は「良い国とは」、ただそれだけを考え自分の中での答えを見つけたのだ。


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