十二国記・赤子鳳声
The Twelve Kingdoms
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「風の万里 黎明の空」二十五話

 梨耀のもとで苛烈な扱いを受けている鈴は、新たに立った蓬莱出身の景王に会うことさえできればこの場所から救い出してもらえるのだと、自分の中の景王像を日増しに強く描くようになっていた。ある日、あまりの想像に呆けていて掃除の最中に壺を割ってしまう鈴。梨耀は酷く怒り鈴に甘蕈(かんきん)を取ってさえくれば許してやると言う。


だが、甘蕈はこの琶山の断崖にしか生えておらず、間違えて崖の下へと落ちでもしたら命を失うことになる危険な場所だった。崖を下っていく途中、これ以上進めないと感じる鈴の前に、梨耀の騎獣である赤虎が監視役としてやってきた。


 景王に期待の念を描く鈴とは反対に、憎しみを募らせていく祥瓊。彼女は全てを失った自分の現実を認める事など出来ず、王宮にいた頃に良く歌っていた歌を口ずさむ。今の祥瓊にはこの歌だけが心のよりどころだった。だが、その姿を沍姆に見つかってしまい激しい叱咤を受ける。あまりの感情の高ぶりに、無意識の内に祥瓊が公主であった事を声に出してしまう沍姆。


その一部始終を見ていた人物がいた。里家に暮らす少女だった。彼女の母親もまた峯王仲韃の過酷な法によって殺されてしまったのだ。たちまち里全体に祥瓊の正体が伝わっていく。だが祥瓊は自分も父も間違ってなどいなく、罪を犯した人々が悪いのだと未だにおもいこんでいた。


 そのころ景王陽子は、王の教育や諫言・助言といった役を兼ねる太師(たいし)・太傅(たいふ)・太保(たいほ)のおかげで、少しずつ国の内情を理解し始める事ができ、官たちの間で勢力争いがある事にも気づくのだった。少し気疲れした陽子の様子に、太師が自分の屋敷に誘ってくれる。陽子は自分の事を気遣ってくれた優しさが嬉しかった。


一方、六官を束ねる位置にある冢宰靖共が陽子を尋ねてくる。今、朝議の議題になっていた夫役の事だった。陽子にはどうしても判断がつかず、この一件を国情に詳しい靖共に任せることにした。だがそれを聞いた景麒はあきらかに不満な表情を浮かべ、ためいきをつくのだった。



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