十二国記・赤子鳳声
The Twelve Kingdoms
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「風の海 迷宮の岸」二十一話


 天帝と呼ばれる神様によって造られた、十三の国が存在する世界。中央にある黄海を一国とし、それを取り囲むように配置された十二の国の内情を六太は気にかけていた。本来、十二の国には十二の王と麒麟が存在する。だが今、巧国と芳国には王がいない。そして芳国には麒麟さえもいないのだ。
  


現在では慶国・奏国・才国・範国・恭国・柳国・舜国・漣国そして六太のいる雁国には、それぞれ治世の長さの差はあるが王と麒麟の両者が存在している。国には王がいるだけで最低限荒れることは無いのだが、王がいない国は土地は荒れ妖魔が出没し民は貧困に喘ぐことになるのだ。そして今、最も荒れている国が北東の端に位置する戴国であった。戴国では王と麒麟の行方が分からなくなっていたのだ。六太はその戴国の小さかった麒麟・泰麒の事を考えていた。


黄海にある蓬山には、麒麟が宿る木がある。泰麒もその木から生まれ、蓬山に住む女仙たちの愛護を受けて成長する筈だった。しかし木に宿った直後、こちらの世界と「蓬莱」と呼ばれる日本とを一時的に繋ぐ「蝕」という天災が起きてしまった。その蝕によって泰麒の卵果は日本へと流されてしまったのだ。それでも何度か日本へと渡っていた六太によって見つけられ、泰麒は無事蓬山へ帰還することができた。


そこで幾多の葛藤に悩まされながらも、ついには自らの意思で王を選ぶことができたのだ。全ては上手く行っていた筈だった。しかし今、戴国には泰麒も王さえもいないと云う。仮に麒麟が死んでいたのならば、新たな麒麟の卵果が蓬山の木に宿るのだが、その兆候もなかった。それは泰麒がまだどこかで生きているという証だった。


六太は今でも何度となく日本へと渡り、泰麒を探しているのだ。六太は泰麒が必ず戻ってくると信じていた。苦しみに耐え王と麒麟を待ち続けている民の為に、そしてなにより泰王と交わした大切な約束を果たすために……。



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